I-Method

アウトローとベンチャー

第2部 アウトローの手口と封じ込め
 第3章 不法投棄ゴールドラッシュ
  2 影の黒幕…法律をかいくぐる自社処分場ブローカーの手口

2−2 偽装組合と偽装リサイクル…市原市


 自社小規模最終処分場を偽装する手口が多かった銚子市に対して、同じ千葉県でも市原市では自社小型焼却炉を使った偽装が横行していた。
 小型焼却炉では、1時間に200キロ未満、1日8時間として1.6トンの焼却しかできないはずだが、最大級の偽装現場では、小さな焼却炉の前に30万立方メートルを超える廃棄物を積み上げてしまった。焼却が終わるのに600年かかる計算である。
 これほど大量の廃棄物を短期間に集めることができたのは、偽装組合を設立し、組合員共有の焼却炉だと主張して行政指導を撹乱し、昼間から堂々と廃棄物の搬入を続けたからである。
 さらに市原市では、リサイクル施設を偽装して大量の廃プラスチックを積み上げたまま放置している現場もあった。廃プラスチックを資源として1トン500円で買い入れ、別途運搬費を1万円請求するので、リサイクル偽装であると同時に、運搬費偽装であるとも言えた。会計書類検査を実施しなければ、こうした偽装行為を立証することはできない。しかも、2001年頃から、実際に中国へ資源として輸出される廃プラスチックが増えていたことも、リサイクル偽装、輸出偽装、運搬費偽装に対する行政の調査や指導を困難にする要因になっていた。
 検査料偽装という特殊な偽装行為もあった。これは廃棄物を輸出資源に偽装するため、売却代金の何倍にもなる検査料を別途請求するという手口であり、検査が必要な口実として、有害廃棄物の輸出を禁止するバーゼル条約が逆用されてすらいた。
 リサイクル元年とも言うべき2001年には、建設リサイクル法と食品リサイクル法が施行され、この前後から、市原市では、木くずのリサイクルを偽装した現場が増え、積み上げた木くずチップの火災が頻発するようになった。
 また、木くずのチップと食品系汚泥を混合して堆肥化する施設が、食品リサイクル法の施設として注目されるようになったが、受注量が増えたために施設がオーバーフローし、未発酵汚泥(未熟性堆肥)が不法投棄されてしまった。

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