I-Method

アウトローとベンチャー

第1部 アウトローの二重性
 第2章 社会の二重構造とアウトロー
  3 アウトローの組織化

3−1 差別の組織化


 アウトローは差別を組織化する。同和、在日に対する差別は、アウトローの組織化の根幹を成している。
 在日(日本に在住する韓国、朝鮮人、中国人、台湾人)は、民族的差別の組織化の代表例だが、これ以外にも中南米の日系移民2世3世、中国の残留孤児、外国人留学生、外国人研修生(研修労働者)、日系混血、イスラエル人の露天商なども組織化されている。外国人の在留許可を対象にした不法入国、不法滞在、ビザの偽造、偽装国際結婚などもアウトロービジネスとして拡大している。蛇頭(中国福建省)、三合会(香港)などの中国マフィア、ロシアマフィア、韓国スリ団などの犯罪組織も日本に進出し、表立った抗争もなくヤクザと共存している。

 アウトローには、社会の敗北者、弱者を組織化するという機能がある。これがアウトローの救済機能である。
 アウトローが救済の手を差し伸べる社会の敗北者、弱者には、犯罪者、無頼漢、無学歴者、退学者、失業者、外国人、帰国子女、復員軍人、売春婦、薬物中毒患者などがある。
 さらに、アウトローには、社会の敗北者に復活や復讐のチャンスを与えるリベンジ機能すらある。
 景気後退が続いたことから、倒産する企業、リストラされる労働者も激増した。これらの失業者をやみ金などのアウトローが吸収したことは周知である。
 アウトローは、昔から建設工事や港湾の荷役への作業員の派遣、売春婦の確保など、合法、非合法の雇用を取り仕切ってきたが、最近ではさらに多様な人材派遣業に進出している。
 
 アウトローの結社には、暴力団のほか、右翼・左翼のさまざまな政治団体、同和団体(似非同和団体を含む)がある。また、宗教法人の偽装も少なからずあり、組合、民財団、社団、NPO法人、協会などの任意団体の形態を取ることもある。フロント企業だけではなく、暴力団の本部が株式会社など会社組織をとることも普通になっている。
 外国人などの集団居住地には、コミュニティが形成され、それが組織の原型になることも多い。最近では、出版活動、文化サークル、食料・雑貨店、インターネットを介した組織化もあり、マイノリティカルチャが形成される。
 その一部はメジャーな文化に発展することがあり、アメリカではプエルトリカンや黒人の音楽が流行し、日本ではアイヌ文化や沖縄文化の流行、ことに沖縄や奄美の音階を用いた音楽が流行している。
 組織化の最大の効用は、経済的効果であり、マイノリティ産業やマイノリティ市場が形成される。
 組織が強大になれば、政治家を輩出することもある。

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