I-Method

アウトローとベンチャー

第3部 ベンチャーによるアウトローの超克
 第8章 産廃業界の再編
  1 産廃業界の現状

1−2 産廃業者の施設規模拡大


 大企業の参入に刺激されて、既存の産廃処理業者も、大規模化を図るようになっている。これには施設の高性能化・大規模化と低価格が貢献しており、ガス化溶融炉、ロータリーキルン、ストーカー炉、バイオガスプラント、大型破砕機、多段階選別機、ハイテク最終処分場などの高性能施設・大規模処理施設が続々と導入されている。
 大型焼却炉の建設コストは、10年前には1日100トンの処理能力で100億円と言われたが、今では15〜20億円にまで下がった。逆に、100億円あれば1000トン炉が建設できるようになり、低価格化が施設の大規模化を後押ししている。
 これは後に誤報という判決が出たテレビ朝日ニュースステーションの「特集野菜とダイオキシン」報道を端緒として、焼却炉のダイオキシン類規制が強化されたため、自治体の清掃工場の建替えが進み、焼却炉メーカーにとってはダイオキシン特需という状況になり、この需要が一巡した後に、仕様を簡素化し、価格を下げて産廃処理用に販売するようになったからである。
 大企業の参入や、既存の中間処理施設の大規模化は、産廃業者の経営規模を急拡大し、産廃業界の再編が進んでいる。これまで産廃業界のガリバーだった最終処分場は、リサイクルの進展による埋立量の激減、処分場設置や拡大の難しさなどから、斜陽化しつつある。これに対して中間処理やリサイクルの規模拡大には上限がない。

 産廃業界の信用を回復していくには、経営規模の拡大による業界再編と、情報公開による透明性の確保を進めていかなければならない。
 経済産業省の「廃棄物・リサイクルガバナンス」は、排出事業者と産廃業界がリスクコミュニケーションを構築するためのガイドラインとなっており、環境省の「産業廃棄物処理業優良化推進事業」は、産廃業界の情報公開を主眼としている。
 2003年から2004年にかけて、相次いで内容が固まったこの2つの事業の目的とするところは、優良産廃処理業者を育成し、業界再編を促していくことにある。
 典型的な中小企業の業界だった産廃業界だが、ここへきてトップランナーは単独売上高で100億円、グループ連結売上高では200億円を突破して、堂々と大企業の仲間入りを果たしている。
 売上高100億円の産廃業者のイメージは、1日受入量1000トン、年間受入量30万トン、従業員500人といったところである。100トン炉を一つ作ると、年間処理量は3万トン、売上高は10億円になる。これを10基作れば100億円企業の仲間入りができるわけである。
 100億円企業が1000社あれば、1日100万トン、年間3億トンの処理能力となり、ほぼ現在の産廃業界の市場を吸収できる。雇用は50万人、市場規模は10兆円である。これが、当面の産廃業界再編のゴールとなるだろう。

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