I-Method

アウトローとベンチャー

第3部 ベンチャーによるアウトローの超克
 第8章 産廃業界の再編
  3 アウトローのベンチャー化

3−3 ネットワークによる業界再編


 日本では、M&Aによる産廃業界の再編よりも、企業のグループ化、ネットワーク化による再編のほうが見込みがある。これにもいくつかのパターンがある。

1 ハブ型ネットワーク
 排出事業者からの受注を一括し、適正な処理事業者に配分する方法である。配分先には、リサイクル、海外への輸出を含む。
 メタネットワーク(ハブの相互連結、サブネットワーク(処理事業者間、地域内)への発展性もある。
 ハブ機能(商社機能)を解禁するには、法律改正(処理の再委託禁止条項、無施設業者の受託禁止条項の廃止)が必要であり、現行法の下では、資金力・営業力のある一部の業者が、収集運搬の再委託を利用して、脱法的にハブ機能を果たしている。

2 相互連結型ネットワーク
 処理業者間で、仕事を融通しあい、全体として処理費の低減(利益率の向上)、リサイクル率の向上を図る方法である。
 再委託について、法律改正(同上)やマニフェストの仕様変更が必要なことは、ハブ型と同じである。相互連結は、現在、事実上行われており、再委託ネットワークが構築されている。これが不法投棄ネットワークとして利用されていたため、再委託が禁止されているのである。

3 円環型ネットワーク
 企業の排出物を、他の企業の資源として活用し、全体として排出量を抑制していく方法である。ゼロエミッションの本来の意味であり、エコタウンあるいはリサイクルコンビナートとして部分的には実現している。
 有価物原則(有価物でなければ廃棄物)を廃止し、資源として活用する場合には、無価物であっても、廃棄物処理法が適用されないという法解釈の明確化が必要である。
 判例などで、徐々に有価物原則は外されつつあるが、リサイクルを包括した環境法がないため、リサイクルが無法状態になる懸念がある。リサイクルでも、汚水、排ガスなど環境汚染が生ずるのは、旧来の廃棄物処理と同じであり、包括的な法律が必要である。

4 トレーサビリティネットワーク
 廃棄物が適正に処分され、あるいは資源として循環しているかを追跡していくことをトレーサビリティと呼び、廃棄物処理法では排出事業者の確認義務と定義されている。
 しかし、廃棄物の処理とリサイクルについての専門知識と、情報収集のためのツールを必要とするトレーサビリティの構築は容易ではないため、アウトソーシングを受ける企業が出てきている。
 トレーサビリティは1つのツールで万能ということはなく、IT技術を駆使して、複数のツールをネットワーク化し、多重チェックを可能にすることで、信頼性が高まっていく。
 法的には唯一のトレーサビリティツールであるマニフェスト(産業廃棄物管理票)が、偽造が容易で信頼性に乏しいことは周知である。
 このため最近になって、偽造ができない電子マニフェストに加えて、GPS(位置情報システム)による車両の位置情報システムや、携帯電話写真の位置情報システム、ICチップによるラベリング、WEBカメラによる処分場のリアルタイム監視、赤外線カメラによる車両ナンバー監視などが複合的に組み合わされたネットワークが構築されつつある。

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