アウトローとベンチャー
第2部 アウトローの手口と封じ込め
第4章 警察と行政の弱点
2 行政の弱点 |
2−3 二重構造の脱構築
アウトローが二重構造を存在根拠としているとすれば、アウトローの問題を根本的に解決するには、この二重構造を解消しなければならない。
人的な差別、法律の矛盾、経済の二重構造と二重価格をリセットすれば、アウトローは存在根拠を失い、活動の場を失う。
逆に言えば、二重構造の解消を伴わない単なる取締りは、アウトローを根絶する効果をもたない。たとえば、駐車違反の取り締まりは、ほとんど防犯効果を持っていないかに見える。
かえって取り締まりが二重構造の原因になってしまうこともある。悪法として名高かったアメリカの禁酒法は、かえって密造酒を資金源にマフィアの勢力を拡大してしまうるという皮肉な結果になった。
廃棄物処理法の規制強化と不法投棄の悪循環にも、この禁酒法と似た構造が見て取れる。廃棄物処理の需給バランスが崩れているときに規制強化によって供給を絞ったら、かえって不法投棄を増徴させる結果になる。
エネルギー、通信、上下水道などと同様に、廃棄物処理は、一日たりとも止めることができないライフラインであり、公共関与によって、需給をバランスさせることが不可欠である。ところが、産業廃棄物の処理を民間任せにしたために、需給バランスが崩れてアウトローが侵入し、不法投棄が需給ギャップを埋めなければ、産業界と産廃業界が互いの対面を保てない状況になってしまったのである。
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