I-Method

アウトローとベンチャー

第3部 ベンチャーによるアウトローの超克
 第7章 価格差戦略
  1 不法投棄と需給ギャップ

1−3 不法投棄と国際経済


 たかだか産業廃棄物の不法投棄といっても、それは社会や経済のあらゆる動きと密接に関連している。バブル経済崩壊後の低金利に誘引されて住宅ブームが起こったことは、建設系廃棄物の不法投棄が増加する原因になったし、中国経済の進展によって資源価格が上昇したことは、廃プラスチック類、廃自動車、廃家電の不法投棄が終息に向かう原因になった。
 廃棄物の問題を解決するには、資源とエネルギー、生産と消費、都市と住宅など、生活と経済のすべてに対する価値観を変えていかなければならない。
 環境を環境に限定して考え、経済を経済に限定して考え、都市を都市に限定して考えると、結局は何も問題が解決せず、先送りになるばかりだ。
 これは部分最適化が全体最適化にはつながらないないという原則で説明できる。日本の人口が減少に転ずる一方、東アジアの人口は増え続けるという国内外の逆転現象がある時代には、日本が得意としてきた先送りでは、解決を一層困難にするばかりだ。スピードアップが必要なのである。
 世界経済の構造不況は、一見すると中国の市場拡大が救済してくれたように見えたが、それは資源の枯渇という形で、世界経済を苦境に陥れている。経済アナリストは、2020年に中国のGNPが日本を追い越すと予想しているが、その2020年は資源の枯渇が世界経済を破滅させる年だとも警告されている。おそらく、そのどちらとも違う予想外の事態が起こるだろう。

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