I-Method

アウトローとベンチャー

第3部 ベンチャーによるアウトローの超克
 第6章 アウトロー経済学
  1 不法投棄の経済構造

1−3 不法投棄の市場規模


 どの国でもGDPの10%程度がアウトロー経済(シャドウエコノミー)と考えられている。アウトロー経済の規模を推定する場合、脱税経済または現金経済と仮定することが一般的であり、この方法で日本のアウトロー経済を先進国中では最低の5%程度と推計している専門家もいる。ただし、この分野の専門家は日本では極めて限られている。
 日本のアウトロー経済が、GDP500兆円に対して、5〜10%とすると、25〜50兆円ということになる。これは世界の大半の国々の国民所得を上回るほどの規模である。
 環境ビジネスの市場規模は、産廃処理だけで10兆円、リサイクルを含めて20兆円と推定されている。産廃アウトローの市場規模を、その5〜10%とすれば、5000億円から2兆円の間になる。
 産廃処理はたとえ正規の処理であっても、仲介手数料(ピンハネ)がつき物であり、これはアウトローの所得(脱税所得)となることが多い。産業廃棄物の発生量は年間4億トンであるが、仮にその半分の2億トンに、ピンハネの相場となっている1kg1〜2円をかけると、2〜4千億円となる。ピンハネが二段階で行われているとすれば、4〜8千億円である。
 不法投棄などの産業廃棄物の不適正処理は、正規の料金の半額程度であり、その粗利を1kg10円程度、不適正処理量を4千万トンとすると、不適正処理の利益は4千億円になる。
 ピンハネと不適正処理の利益の合計は8〜12千億円ということになる。産廃処理市場10兆円に対しては8〜12%である。産廃コネクションで紹介した推定方法とは異なるが、産廃アウトローの市場規模は、シェアで約10%、金額で約1兆円と推定できる。

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